きゅうり(胡瓜)


Cucumber     プロフィール

  ウリ科キュウリ属の一年草で、学名は Cucumis sativus。
  インド北部のヒマラヤ山麓が原産といわれ、紀元前3世紀には栽培が始まりました。わが国へは奈良時代以前に中国から渡来し、食用にされたといいます。名前は、「胡(西域)」からきた「瓜(うり)」ということから。
  もともとは苦みや渋みが多い野菜ですが、現在ではほとんどなくなっています。
  系統・品種と用途

  「きゅうり」には非常に多くの種類があり、世界中では500種類もの品種が栽培されています。大きくは5系統に分類され、中国系の華南型(春きゅうり)や華北型(夏きゅうり)、ヨーロッパ系の英国温室型やスライス型、ピックル型になります。
  わが国で栽培されているのは、華北型(白いぼ種)や華南型(黒いぼ種)、それに両型の交雑種が中心です。最近では、低温に強い華北型(白いぼ種)が開発されたこともあり、生産量の90パーセントを占めています。

  「白いぼきゅうり」は、表面はなめらかで皮が薄く、どんな料理にも向きます。
  「黒いぼきゅうり」は、皮が厚いですが肉質は柔らかです。
  「四葉きゅうり」は、華北系の品種で、表面にしわがより、歯切れがよいものです。
  「英国温室型きゅうり」は、表面はなめらかで果肉が厚く、肉質は柔らかです。
  「スライス型きゅうり」は、表面はなめらかで果肉が厚く、スライスして利用されます。
  「ピックルきゅうり」は、果実が短くて果肉は緻密。ピクルス漬けに利用されます。
  栽培のポイント

  「きゅうり」を栽培するにあたっての基本条件および栽培のポイントはつぎのとおりです。なお作型は、品種によって異なる場合がありますので、タネ袋に記載されている内容をよく確認してください。

気候区分

作業

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12
温暖地
種まき

植えつけ

収穫

 


152025

発芽適温

25-30

生育適温

18-25

栽培のポイント

  温和な気候を好み、温度の変化に敏感です。10℃以下や35℃以上では成長が止まり、わずかな霜でも被害を受けます。

 

pH

5.06.07.0

土壌酸度

6.0-7.0

栽培のポイント

  酸性土壌ではかならず石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。乾燥にも多湿にも弱いので、有機質を十分に与えてください。

 


0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

作付け間隔

2-(3)


栽培のポイント

  連作障害の出やすい野菜です。いちど栽培したところでは、少なくとも2年は栽培しないようにしてください。
  栽培のステップ

  「きゅうり」を栽培するとき、種まきから収穫までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。

 

ステップ

内容

種まき・育苗

(1) 3号ポットにタネまき用土を入れ、タネを2〜3粒、間隔をあけて、人差し指1節の半分くらいの深さにあけた穴にまきます。覆土をして、軽く手で押さえます。




(2) たっぷりと水を与え、植えつけまで日当たりのよいところで育てます。

畑の準備
支柱立て

(1) 酸性土壌にやや弱いので、植えつけの2週間くらい前までに石灰を施し、よく耕します。

(2) 畝の全面に元肥(堆肥と化成肥料)をまいて15〜20センチの深さによく耕します。これを幅90センチ、高さ15〜20センチほどの畝にします。

(3) 「地這種」のほかは、条間60センチ、株間50センチで植えつけることを想定して、高さ1.5メートルほどの支柱を立てておきます。

植えつけ

(1) 本葉が1枚出たころ、成長の遅れているものを間引いて、1本立てにします。








(2) 本葉が3〜4枚になったころ、50センチ間隔で植え穴をあけ、根を傷めないように注意して苗を植えつけます。10号鉢に1株、65センチのプランターなら2株が植えられます。

(3) 「地這種」のときは、雨の跳ね返りを防ぐために、わらや黒色マルチフィルムでマルチングしておきます。

追肥
摘芯・整枝

(1) 植えつけ後、半月ほどたったら、畝の両側に化成肥料を施し、軽く土と混ぜ合わせます。






(2) 初めての追肥後、収穫が終わるまで、2週間ごとに追肥します。肥料切れは病気や変形果の原因になるので、注意が必要です。

(3) 親づるが支柱の高さ以上に伸びたら摘芯します。親づるの基部から5節目までに出たわき芽(子づる)はすべて摘み取り、6節目以上から出た子づるを伸ばします。

収穫

(1) 花には雄花と雌花があります。開花してからおよそ1週間で収穫適期を迎えます。








(2) 長さ10〜12センチで「もろきゅう」としての収穫です。ふつうは22〜23センチの長さで収穫します。もっと大きくなったものは酢の物に利用します。
  おもな病害虫

  「きゅうり」には病害虫が多く、無農薬栽培が難しい野菜です。わたあぶらむしやハダニ類などの害虫、べと病やうどんこ病、つる割れ病などの病気が発生します。
  おもしろ百科

  「ブルームレスきゅうり」

  10年くらい前まで、市販されている「きゅうり」には、表面にロウが白い粉をふいたようについていました。これはブルームと呼ばれ、「きゅうり」から自然に出てくるロウ物質です。これが農薬だと思われて消費者から敬遠されるというので、開発されたのが「ブルームレスきゅうり」です。これはブルームのでない「かぼちゃ」の台木に接ぎ木することによって作られます。
  ただこの「ブルームレスきゅうり」は皮が厚くて果肉が柔らかく、むかしのような「きゅうり」の食感がありません。ホームガーデンでは、むかしながらの「ブルームきゅうり」が味わえます。

  「大和三尺」

  そのむかし、「きゅうり」の奈良漬けといえば、実の長さが90センチにもなる「大和三尺」を漬けたものでした。奈良県特産の品種で、明治時代に華北系の「台湾毛馬」と「白皮三尺」、「北京」が交雑してできたものとされますが、昭和40年代以降生産が減り続け、現在ではほとんど栽培されていません。でも奈良県では、「大和三尺」を復活させようという試みも始まっています。

  写真提供: 「ボタニックガーデン」  イラスト: 「ころぽっくる」 by lemさん
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